【小ネタ】「天官賜福」が沼すぎる!深遠なる物語と知られざる隠れた秘密「天官賜福」とは?

「天官賜福」とは? 中国を席巻する大ヒット作の魅力に迫る!

アニメの世界に足を踏み入れたいけれど、何から見たらいいか迷っていませんか?もしあなたが「心揺さぶられる物語」や「息をのむような美しい映像」、そして「登場人物たちの深い絆」に魅力を感じるなら、今すぐ『天官賜福(てんかんしふく)』の世界へ飛び込んでください。 この作品は、中国で社会現象を巻き起こし、日本でも熱狂的なファンを増やし続けている、まさに「伝説」と呼ぶにふさわしい超大作です。

墨香銅臭(モーシャントンシウ)先生が手がける珠玉の第三作目である『天官賜福』は、そのタイトル自体が道教の奥深い術語に由来していることからもわかる通り、随所に中国古来の文化や信仰が織り込まれています。今回は、この壮大な物語の魅力を余すところなくお伝えするとともに、知られざる「小ネタ」や「豆知識」を深掘りしていきます。

天官賜福とは

まず、「天官賜福」がどのような作品なのか、その概要と並外れた人気についてご紹介します。

この物語は、かつては尊き神官だったものの、二度の追放を経て三度目の飛昇を遂げた主人公・謝憐(シエ・リェン)が、人間界で起こる不可解な事件を解決しながら、謎多き鬼王・花城(ホワ・チョン)と出会い、共に数奇な運命を辿っていく壮大なファンタジーです。

中国の動画配信プラットフォーム「bilibili」では、総再生回数4億回を突破するほどの驚異的な人気を誇り、コンビニやファストフード店とのタイアップ企画が実施されるほどの「国民的」作品としての地位を確立しています。日本では女性視聴者を中心にファンが急増中であり、アニメの日本語吹替版が放送されるやいなや、関連ハッシュタグがX(旧Twitter)でトレンド入りするなど、その反響の大きさは計り知れません。

このブームの背景には、中国独自の「オタク文化」があります。元々はウェブ連載小説としてスタートした「天官賜福」は、書籍出版に必要な国の審査が比較的緩やかなウェブ上で、様々なジャンルの作品の中から生まれました。特に、2019年に大ブームを巻き起こしたドラマ『陳情令』の影響で、BLやブロマンス作品が市民権を得るようになり、中国のファンは日本と異なり「自分の好きな作品」を非常にオープンに楽しむ風潮があります。ネット上では、ファン同士が作品内のカップリングについて活発に意見を交わし、その熱が連鎖的に新たなファンを呼び込んでいるのです。

心を奪われる映像美と骨太なストーリー

「天官賜福」の魅力は、初めてアニメのPVを見た瞬間から心を奪われるような、「今っぽさ」を追求した洗練されたキャラクターデザインです。これまでの中国アニメのキャラクターデザインが、日本の感覚からすると一世代前の印象を与えることもあった中で、「天官賜福」は線を極力減らし、髪や服のなびきをシルエットで表現したり、影色に紫や青などの寒色を取り入れたりするなど、日本の女性向け作品のトレンドを巧みに取り入れています。これは、制作会社である絵夢(えもん)動画が日本にも現地法人を持ち、日本アニメの手法や流行を積極的に取り入れている結果と言えるでしょう。

また、背景美術、キャラクター、そして3D描写が見事に調和している点も高く評価されています。アクションシーンの一部に3Dが用いられながらも、それが不自然になく馴染んでいる技術は圧巻です。日本人のオタク界隈では未だに3Dがうまく受け入れれない人もいる中、中国は反対方向に進んでおり多くの中国アニメがデジタル技術と手描きを「盛り盛りに」掛け合わせる傾向があるあります。この中で、「天官賜福」は他とは違い「引き算の美学」を見事に体現し、スマートにまとめていす。これにより、キャラクターがより際立ち、全体的に幻想的で「絵本のような」雰囲気、そして「神様の昔話」というテーマにふさわしい質感が創り出されているのです。

原作のストーリーもまた、読めば読むほど深みに引き込まれる「骨太な物語」です。文庫本7~8冊分にも及ぶであろう長編でありながら、プロットと構成が非常に巧妙に練り上げられ、張り巡らされた伏線や予測不能な展開は、計算し尽くされた美しさがあります。ロマンスを描きながらもサスペンスドラマのような緊迫感を持ち、冒険ファンタジーとしてのハラハラドキドキ感も存分に楽しめます。日本の少女漫画で例えるなら、『暁のヨナ』や『ふしぎ遊戯』のテイストに近く、これらの作品が好きな方にはまさに「刺さる」傑作と言えるでしょう。

深掘り!知られざる「天官賜福」の秘話と小ネタ集

「天官賜福」は、知れば知るほど面白くなる隠れた小ネタや豆知識が満載です。作品を二度三度と見返したくなるような、とっておきの情報をご紹介します。

風師のモデルは?

作中で人気の高い男神、風師大人・師青玄(シー・チンシュエン)。彼の法器である風師扇は、平地に竜巻を巻き起こす強力な力を持っています。この風師の参考になったのは、皆さんも古籍やドラマで目にしたことがあるかもしれません、現実世界に伝わる「風伯(ふうはく)」です。師青玄とは異なり、風伯の塑像は通常、白髪の老人で、左手に車輪、右手に扇子を持つ「風伯方天君(ふうはくほうてんくん)」として描かれます。作品では若々しい姿で登場する師青玄と、伝承の風伯との対比が面白いですね。

衝撃の伝統芸能「血社火(シュエシェフオ)」

物語の舞台となる博古鎮(ボーグーチェン)で披露される「血社火」のパフォーマンスは、賀玄(へー・シュエン)の悲惨な一生を再現したもので、血生臭く猟奇的であり、そのメイク術は外部には決して漏らされないという設定です。その意図は「悪を懲らしめ善を称える」というもの。

実は、この血社火も現実世界に存在する伝統芸能なのです。実際の血社火は、武松(ウー・ソン)が兄の復讐をするという物語を題材にしており、閏年に一度だけ上演されます。そのスタイルは「天官賜福」の中で描かれるものと同様に、奇抜で見る者を震え上がらせるような迫力があります。これもまた、「悦神(悦びの神)」のため、そして悪人への威嚇、悪を懲らしめ善を称えるという目的を持って行われるのです。作品の世界観にリアリティと深みを与えている要素ですね。

神官の寿命と信仰の力

天界の神官たちは、私たちの想像するような完全無欠の存在ではありません。墨香銅臭先生の特別な設定として、飛昇(ひしょう)を遂げた神官も永遠の命を得るわけではないのです。彼らの寿命と法力は、信徒の数や宮観(信仰のための建物)の多さに比例して長くなり、強くなる、という点が非常に興味深い設定です。かつて花城に打ち破られた三十三位の神官たちは、宮観を焼かれ、信徒が減少した結果、徐々に姿を消していったとされています。神の存在も、人々の信仰によって支えられているという、示唆に富んだ真実が描かれています。

風信の神号の秘密

風信(フォン・シン)の神号が一時的に「巨陽将軍(ジュヤンジャンジュン)」と呼ばれていたことは、他の神官の神号に比べて、いささか上品さに欠ける印象を与えます。しかし、これには切ない理由があるのです。実は彼の本来の神号は「俱陽(ジュヤン)」でした。ところが、ある国の君主が「俱陽殿」を「巨陽殿」と書き間違えてしまったのです。建築を担当する役人たちは、聖上(君主)に逆らうことを恐れ、熟慮の末に俱陽真君(風信)に少々犠牲になってもらうことにした、というのです。

自分の神号がいつの間にか意味不明なものに変わっていたことを知った風信は、十年以上経ってからその事実を知り、空に向かって大声で罵ったといいます。その後、ようやく別の真っ当な君主によって「南陽(ナンヤン)」という名前に改められ、少し落ち着いたのです。このエピソードは、風信の人柄をユーモラスに描き出すと同時に、神官もまた人間の世界の影響を受ける存在であることを示しています。

日本語吹替版が切り開いた新境地

日本語吹替版の制作にあたっては、様々な苦労と工夫がありました。この視点から作品を改めて見ると、さらにその奥深さに気づかされることでしょう。

言葉の壁と世界観の説明

プロデューサーの黒﨑静佳さんによると、最も苦労した点の一つがセリフの翻訳だったそうです。特に「飛昇(ひしょう)」のような、日本ではあまり馴染みのない単語が多く登場するため、謝憐役の神谷浩史さんも最初に疑問を投げかけたほどでした。

また、作品の基本的な世界観、例えば「人間界・天界・鬼界」の三つの世界が存在するという概念は、中国では民間信仰や道教の教えとして広く知られているものですが、日本の視聴者の多くは当然ながら知りません。そのため、まずはその背景を説明する必要がありました。しかし、説明しすぎると逆に作品に入り込むハードルが高くなってしまうため、どこまで説明し、どこまで視聴者に委ねるか、その「塩梅(あんばい)」が非常に難しかったといいます。

さらに、中国語のセリフをそのまま日本語に訳すと、圧倒的に日本語のほうが長くなってしまうという問題がありました。既に映像とセリフの尺が決まっている中で、必要な説明を加えていくと、原文とは全く異なるセリフになってしまうこともあったそうです。翻訳者の方々の並々ならぬご苦労が伺えます。

キャラクター表現と「天官賜福」の真意

日本語では一人称や口調によってキャラクターの印象が大きく変わりますが、中国語のセリフには日本語ほど複雑な敬語表現や一人称のバリエーションがありません。そのため、日本語吹替版では、原作のテイストを踏まえつつ、ある程度、制作側でキャラクターの個性を付与する作業が行われました。例えば、謝憐の口調は最初の翻訳ではもう少し強めだったものを、敬語と常態語を混ぜて柔らかい雰囲気になるように調整したり、扶揺(フーヤオ)は皮肉屋に、南風(ナンフォン)は愚直で体育会系に、といった具合に、音響監督や翻訳者との綿密な打ち合わせを経て調整されました。

特に、タイトルにもなっている「天官賜福」という言葉の翻訳には、並々ならぬこだわりが込められています。第一話で霊文(リンウェン)が「天官賜福」と言い、謝憐が「百無禁忌(ひゃくむきんき)」と返すシーンがあります。当初は「この旅が無事に終わり 天の祝福があらんことを」「行く手に憂いなし」と訳されたのですが、これではタイトルの意味を説明する機会が失われてしまうと考えられました。そこで、最終的に「この旅に天官賜福、天の祝福があらんことを」という霊文のセリフに、謝憐が「恐れるものなし」と返す形に変更されたのです。

この「天官賜福、百無禁忌」という言葉は、「天の神様の御加護があれば恐れるものはなにもない」というような意味でもありますが、この物語の根幹をなすテーマを体現した非常に印象深いセリフであり、今後の展開を知った上で改めて見返すと「なるほど!」と深く頷ける瞬間が訪れるでしょう。作品の最も大事な部分を伝えるため、制約のある中で言葉を練り上げた制作陣の情熱が感じられます。

日本版独自の主題歌と映像のこだわり

日本語吹替版では、オープニングとエンディングが日本独自の楽曲と映像になっています。これは、元の主題歌も素晴らしいものではあったものの、プロモーションの観点から、日本と中国の音楽に対する感覚の違いを考慮し、権利元に依頼して変更されたものです。

主題歌を担当したアーティストの方々には、原作の最終的な結末や、この物語が何を描いているのかが詳細に伝えられた上で作詞が行われたため、作品に深く寄り添い、何度でも「深読み」できる楽曲に仕上がっています。

映像面では、映画『君の名は』のPVや『ドラえもん』のオープニングなどを手がけた10GAUGE(テンゲージ)というスタジオが制作を担当しました。既存の素材を巧みに再構築し、歌詞やキャラクターの関係性に焦点を当てたハイエンドな映像は、多くの視聴者を魅了しました。

まとめ:今すぐ「天官賜福」の世界へ!

「天官賜福」は、その美しい映像、緻密なストーリーテリング、そして登場人物たちの織りなす深い人間ドラマ(そして鬼のドラマ)が、観る者の心を鷲掴みにする、まさに珠玉の作品です。今回ご紹介した小ネタや伏線を知ることで、あなたはきっとこの壮大な物語のさらなる深みに気づき、沼へと深く沈んでいくことでしょう。

ぜひ、この機会にアニメ『天官賜福』を視聴し、その世界を体感してください。 きっとあなたも、その魅力から抜け出せなくなるはずです!そして、物語を深く愛したなら、関連グッズや今後の展開にも注目してみてくださいね。

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